こんにちは!鳥取シゴト記者クラブです!
鳥取シゴト記者クラブでは鳥取県のいろいろな企業を学生が取材し学生視点でみた企業を皆様に届ける活動をしています。
今回は、鳥取県のインフラを支える鵬技術コンサルタントの
常務取締役の駒井弘通さんにお話を伺いました!
『はじめまして!記者の森本です!最初に(駒井さんの)出身地と学歴を教えていただいてもいいですか?』
『出身は倉吉市で倉吉工業高校(現:倉吉総合産業高校)の土木科を卒業しています。』
『新卒で入社されたんですか?』
『はい。当時は「鵬技術コンサルタント」ではなく「倉吉測量」という社名でした。』
『入社の動機を聞かせて下さい!』
『当時は建設業が盛り上がっていまして、将来まだまだ伸びそうだなと思ったからです。建設業に入られた先輩から色々情報を聞くと、建設業は土日の休みがないと言われたので、比較的休みが取れると聞いていた測量に入ることにしました。でも、実際に入ると建設も測量もあまり変わりませんでした。当時はほ場整備ブームだったので、コンクリートの境界杭を何十日も掛けて埋め込む作業を行っていました。また、今はGPSがありますが、当時は三角点を測るために山にも登りました。』
『当時は大変だったんですね…』
『そうですね。昔は測量のみで設計はしていませんでしたが、今の会社になってから建設コンサルタントとなり、依頼が来て設計をやるようになりました。』
『コンサルタントについて漠然としたイメージしか持ってないのですが、どこからどこまで携わったらコンサルタントというのですか?』
『うーん、個人のイメージにもよりますが…お客様が何か問題を抱えていて、こうなってほしいというイメージは抱えているけどどうしたらいいかわからない時に、私たちがそれを形にして、お客様の求めるイメージに近づけていくことだと、私は思います。』
『面白そうな仕事ですね!
ところで話が変わりますが、創業の経緯を教えてもらえますか?』
『創業者は家屋調査士といって、家屋を法務局に登記する仕事をしていました。当時、建設業が増えていたので、測量の業務も増えてきていました。だから測量を専門にしている会社が必要になったんです。』
『社名の由来についてもお聞きしてもいいですか?』
『鵬(おおとり)というのは中国の伝説の鳥で、飛ぶと何週間も降りてこないと言われています。その鳥にちなんで飛び続ける会社であるようにという願いを込めてつけられた社名です。』
『そうだったんですね!ちなみに駒井さんは今どのようなお仕事をされているのですか?』
『今は常務になったばかりなのですが、前は調査設計をしていました。調査には色々なものがあります。例えば過去には、山陰道ができたときに交通量がどのように変化したかとか、橋梁の劣化の程度はどの程度かなどを調べました。また、トンネルで落下物があると危ないのでトンネルの点検や地質調査をしたり、柔らかい土地に重い物を置くと地面が沈んでしまうのでその地盤の性質を調べたりもしていました。』
『若手の時と今とでは業務に違いはありますか?』
『昔は上司の指示を待っていましたが、今はコンサルティングをして部下に指示をする立場に変わりました。』
『調査は幅が広くて専門的な知識が必要そうですね。』
『地質は特に必要かもしれないですね。鳥取県内でも様々な地質がありまして、地震でも地質によって揺れ方が違いますよね何億年前の地質が今こうなっているとか、マグマ、津波でどう変化したとか、長い時間を考慮しなければならないこともあります。』
『採用する際にはそうした知識を持った人が必要ということですか?』
『そうですね。大学でそういったことを勉強している人がいいですね。』
『大卒と高卒の割合はどうですか? マイナビにも掲載されていますよね?』
『大卒は半分もいないと思います。なかなか来てくれないですね。そもそもどういう会社なのかという部分が知られていないのかもしれないですね。建設系で探している学生さんがいても、どうしても大手に行ってしまいますね。』
『大手と比較した時に、鵬さんの方が優れていると思うところはありますか?』
『社員との距離感が近いので、経験がなくても若手に任せてチャレンジさせてあげることができます! 』
『どこの大学出身の人が多いですか?鳥取大学だと土木建築に関わる学科は2学科しかありませんが…』
『地質だと島根大学が多いです。あとは色々ですね』
『Uターン(鳥取出身で県外の大学を卒業された方が鳥取に戻ってきて就職する場合)の方とIターン(鳥取出身でない方が鳥取で就職する場合)の方ではどちらが多いですか?』
『Uターンが多いですね』
『鳥取大学からももっと入社してほしいですね。女子でも大丈夫ですか?』
『そうですね!(女子でも)もちろん大丈夫ですよ。測量も地質、設計もありますので。』
『女子でも本当に関係なく採用してもらえるんですね。』
『はい。女子でも現場がやりたければそういった場所もありますし、中(室内)がよければ先ほど挙げたところもありますから。』
『資格がない人でも営業職では採用されていますか?』
『そうですね。でも、測量、設計、地質などは資格がいりますね。ある程度以上になろうとすると。
ただ、最初の段階は経験とか準備期間がいりますので、みんな10年くらいしてから資格を取りだします。ずっと資格は取り続けないといけないですよ。僕もまだ資格を取り続けています。』
『(駒井さんは)どのくらい資格もっていらっしゃいますか?』
『うーん。いくつくらいだろうなー。様々な分野があって、色々ありますから。測量もあるし、地質関係もあるし、設計でもいろいろあって。その中でさらに分野があります。例えば、橋とか道路、土があったりして数としてはものすごく沢山あるかな。資格が多いほど評価点として評価されるので、受注が取れたりします。それでみんなが毎年試験にいって受注の幅を広げていこうとがんばっています。』
『一人が資格を一つ取ることが…』
『受注にも影響します。 』
『どうやって(資格取得のための)勉強時間を捻出されてるんですか? 勉強会なんかもあるのでしょうか?』
『それ(時間の捻出)も大変なんですよー。(勉強会も)ありますよ。一度資格を取れば勉強の仕方は同じで、あとは分野が違うだけなのです。ただ、少し得る知識が違ったりするので、そういうところを勉強会でやります。』
『ちなみに…一番苦労された資格は何でしょうか?』
『やっぱり技術士の資格ですね。建設関係じゃなくても、電気、機械の会社でも技術士という資格は必要なんだけど。』
『たくさん資格を取られているということは、それだけされている仕事の幅も広いと思います。今までされてきたお仕事はやはり行政系のものが多いのですか?』
『そうですねー。行政から主に仕事をもらいますが、最近は民間からも仕事をもらいます。そして、民間は反応があって面白いですね。企業が生産性をあげるために何かを建てたいということで依頼されるので、僕たちの仕事が直接企業のためになるんですよね。 』
『 反応というのは具体的にどういった反応でしょうか?』
『最初はお客様が思っていたことと全然違ったものになることもあるんだけど、結局はこちらのほうがベターだったね、という感じでおっしゃってくれます。そんな反応が嬉しいですね。』
『反応が良かった具体的な事例を教えていただけますか?』
『具体的な事例でいうと…倉吉病院という病院がありまして、裏に山をかかえておられます。そして、その山の土砂崩れを心配されてました。最近、福祉施設が土砂の被害にあったことが何回かあって、豪雨もけっこう起こっているので、怖いじゃないですか。それで結果的には法面(のりめん)を作ることになりました。法面というのは山を緩やかに削ることなんですけど、金額的にはほとんど同じ予算で道路も造ることができる!ということになり、施設と施設を結ぶ道路も造りました。』
『もともと山を固定するだけのつもりだったのでしょうか?』
『崩れないようにするっていうのは、緩やかにするっていうことです。ただ、そこの場合は緩やかにせずに鉄筋で補強することにしたため、それなら道路もつけてしまおうということになりました。』
『ほぼ同じ予算で土砂崩れの対策だけでなく、道路も造ることができたんですね。さきほど社員の方に受注する仕事の比率が、公共95%民間5%と伺ったのですが、この比率は今後も続いていくと思われますか?』
『鳥取は行政が強くて、逆に民間が育たないという状況があります。民間が力をつけていけばこれから民間が伸びていくかもしれないですね。ただ、そもそも民間で道路を造成したり、橋を造ったりといった大きな工事をすることは少ないですね。民間でも建物の建設はありますが、うちはそういったものはやらないので。』
『公共事業の受注は減ってきてますか?』
『15年ほど前から減っていますね。そのころがピークでうちは100人体制でしたね。建設業界のピークは丁度バブルの時期だったのですが、それから人材は色々な分野の仕事に散っていきましたね』
『 道路などは造った後修復していかなければいけないと思いますが、今後この分野(建設)で増えそうな仕事はありますか?』
『維持管理の仕事は多々ありますよね。高度成長期に経済対策ということで、短期間で沢山造ってきて、それらすべてが建設から50年経過するので。修繕の順番をどうするかという問題など維持管理は重要になります。』
『そういったことを考えると、今、人は足りない感じですか?』
『全然足りないです。50代はいっぱいいますが、30代、40代がいないです。50代が一気にぬける前に引継ぎをしなければいけない。引き継げなかったら…まずいという危機感を持っています。』
『会社の年齢構成はどのような感じですか?』
『50代が一番多いですね。あと40代が次に多いですかね。20代は若干いるといった感じで、30代はほぼいません。』
『30代はなぜそんなに少ないのですか?』
『採用してなかった時期があったからです。人余りの時代があって、受注が減っていく時は人も減らさざるを得ない。それが30代の少ない理由ですね。そもそも、この業界全体として30代が少ないですね。公共事業自体が減ってしまっているのでね。親もそういった方面を薦めなかったんじゃないかな。』
『10年後くらいに社員がかなり少なくなってしまいますが、何か対策はされてるんですか?』
『若手を採用するしかないですね。人を採用して技術継承していくしかないです。』
『採用は順調ですか?』
『順調ではないですね。なかなか人をとれない状況が続いています。でも、今年に入って何人か面接があったり、少しずつ改善してはきています。』
『若者なら誰でもいいというわけではないですよね?』
『誤解を招くかもしれませんが、ざっくりいうとどんな人でもいいです。入ってからきちんと一から教えますから。ただ、こういう仕事に興味がある人がいいですね。』
『高卒と比較して、大卒に期待することは何ですか?』
『文章力ですね。こういった仕事は人に説明することが必要なんです。対面でする場合はいいですけど、メールや書面で訴えなければいけないことがあって、そういう時に文章力や表現力が必要ですね。』
『営業の人以外でも文章力が必要ですか?』
『特に設計に携わる人は、報告書を作成して伝える必要があるので文章力が要りますね。』
『ところで、仕事以外で社員が交流することはあります?例えば、バレーボール大会とかのようなものとか。』
『ありますよ。歓迎会とか。花見は最近やらなくなってしまったけど、こないだも日帰り旅行にいってきたしね。飲み会なんかもやりますよ。』
『会社では全員の顔がわかりますか?』
『当然わかりますよ!』
『最後に、どんな人がこの企業で働くのに向いていますか?特に性格面を教えてください。』
『性格というのは難しいけど、人の思いを聞き取れる人、探れる人ですね。相手の中にはっきりした像があるわけではないから、そこから探っていける人がいいんじゃないかな。』
『なるほど。難しそうですが、もしそれができるようになれば、多くの人の役に立つことができるようになるんですね。』
『今日は色々と教えていただき、ありがとうございました!』
『こちらこそありがとうございました』
さて、今回の取材はいかがでしたでしょうか?
鳥取県のインフラを支える”鵬技術コンサルタント”さん
女性でも未経験者でもしっかりと鳥取県の”地盤”を支える一員になれそうですね。
手段はあまり問わず地域に貢献している「やりがい」を実感したい方。もしくは建築、土木に興味のある方。
鵬技術コンサルタントで、「皆の便利な当たり前」、作ってみませんか?