『農業を通して人々を幸せに』を掲げる『有限会社村岡オーガニック』。
花苗や野菜苗を生産し、主に農家の方・全国の小売店の方に対して販売しています。
今回は、苗の生産管理のほか、人事・採用のお仕事も行う村岡佑基さんにお話を伺いました。
どうなるか分からない方に飛び込んだ方が面白い
鳥取県北栄町出身の佑基さんは、村岡オーガニックの跡取りでもある。子供の頃から親御さんの仕事を手伝っていたという。
「子供の頃から親の仕事を間近で見ていました。親の背中を見続ける中で、農業の仕事についてなんとなく『いいな』と思うようになりました。いま思えばそれが、跡を継ごうと思ったきっかけだったと思います。」
岡山大学農学部に進学し、農業を学んだ佑基さん。卒業後はオランダに渡り、1年間の農業研修に参加した。
「オランダは農業の先進国で、花に関しては特に有名でした。もともと花に興味がありましたし、先進国がどんなことをしているのか知りたくて研修に参加しました。」
オランダで印象に残ったことは何だったのだろうか。佑基さんは当時を振り返ってくれた。
「花の栽培をしている農家さんのもとで研修をさせてもらいました。日本と比べて、かなり大規模でしたね。とても合理的に仕事をされているなと感じました。機械化が進んでいましたし、栽培マニュアルなども整備されていました。」
「オランダでは『従業員を休ませられないのは、経営者として失格』という風潮があるので、休みはしっかり取れましたね。休日は、現地の人がサッカーをしているところに行き『俺も入れてくれ』と言って、一緒にボールを蹴ったりしていました(笑)その中で日本人は私くらいでしたが、快く受け入れてくれました。人種に寛容な国なんだなという印象が強く残っています。」
研修だけでなく、オランダでの生活を丸ごと楽しんでいた佑基さん。オランダに飛び込むことに対して、恐れはなかったという。
「何かを選択するときには『どうなるか分からない方に飛び込んだ方が面白い』という考えのもと決断してきました。知らないことを経験したり、知らない場所に行くことについては、さほど恐れはないですね。」
「行動することに勇気が必要だと思うから、最初の一歩目が出ないのかなと思います。やりたいことならやるだろうし、やりたくないことだったらやらないだろうし。シンプルなことなのかなと思います。」
まずは従業員が幸せになれるように
1年間の農業研修を終え、オランダから日本に戻ってきた佑基さん。都市部で数年間働いた後、北栄町にUターンされた。そんな彼に、今の仕事の面白みについて伺った。
「『村岡さんのところの苗は良いね』とお客さんから言ってもらえた時はやはり嬉しいですね。」
「現状、徐々に従業員数も増えてきています。達成感を多くの従業員と共有できることも仕事の面白みだなと思います。同じ方向を向いて仕事ができていることはやはり良いものだなと。」
『農業を通して人々を幸せに』を掲げている村岡オーガニック。その言葉が指し示すものを伺った。
「まずは、私も含め、従業員が幸せになることが大切だと思っています。同じ方向を向いて、やりがいを持って働くことが幸せに繋がるのかなと。」
「幸せそうに明るく働いている人から商品を買いたいじゃないですか。そういう人が扱う商品は、お客さんも幸せにできるんだと思います。そうやってどんどん周りに波及していくといいですよね。」
社内が同じ方向を向き、やりがいを持って働くために、会社ではどのような取り組みがなされているのだろうか。
「栽培等に関するガイドラインを作成しているところです。マニュアルではなく、あくまでガイドライン。それぞれの工程における判断基準は示していますが、実際の判断はひとりひとりの従業員に考えてもらっています。」
「植物は個体差もありますし、そのときの天候によっても判断が変わってきますからね。それに、自分で考えて行動してもらうようにしないと、従業員の力も伸びませんから。」
「また、週に1回程度ランチミーティングを行っています。主に農業に関する勉強会ですね。従業員全員が農業の専門用語を話せたら、かっこいいじゃないですか(笑)」
なんだかんだ言っても、信頼関係はあるんじゃないかな
実は、佑基さんの弟である朋典さんも村岡オーガニックで仕事をしている。2人はどんな関係性なのだろうか。
「弟が先に弊社で就農しており、その後に私が東京から帰ってきました。関係性は他の兄弟とそんなに変わらないと思いますよ(笑)」
「当時は仕事に関してよくケンカしましたね。お互い会社を良くしたいと思っていたからこそだと思いますし、それはそれで良かったのかなと。なんだかんだ言っても、信頼関係はあるんじゃないかなと思います。」
「弟は人当たりがいいので、営業など外部との交渉は彼がしています。広報に関しても、方向性だけ私が指示して、弟にある程度任せています。」
写真右が佑基さんの弟である、朋典さん
いい意味で、会社を利用してほしい
徐々に雇用する従業員数を増やしている村岡オーガニック。新たに入ってくる従業員の方に期待することを伺ってみた。
「何よりもまず、任された仕事をきっちりこなせるようになってほしいですね。2、3年やっているうちに新しいアイデアが浮かんできて『これやってみたい』と思えるようになると思うので。会社としては『何かやりたい人を伸ばせる環境』を作りたいと思っています。1人じゃ限界がある。でも弊社なら、人もいるし設備もある。何かチャレンジしたい人は、良い意味で会社を利用してもらって、一緒に楽しい取り組みができたらと思っています。」
苦手な仕事でも、楽しくなるような工夫を
「会社として仕事をしている以上、常に従業員ひとりひとりが自分の好きな仕事をできるわけではありません。それに対して文句を言うのではなく、自分なりに工夫して仕事を楽しくしていってほしいですね。結果が出るようになってくると、自ずと仕事は楽しくなってくるはずです。」
「弊社は小規模な会社なので、一人が多くの仕事をしなくてはいけません。『色んな仕事を経験できる』と思って、積極的に取り組んでくれる人と一緒に働きたいですね。」
「『人の目を見て挨拶ができる』というのも大切ですよね。できない人が多いですから。それだけで採用ですよ(笑)」
苗をつくることではなく、お客さんに喜んでもらうことが仕事
最後に、これから取り組んでいきたいことについて伺った。
「『農業を通して人々を幸せに』ということはこれからも大切にしていきたいですね。」
「花に関しては、6次産業化を進めていきたいと思っています。花を加工して、付加価値をつけて販売していきたいです。野菜に関しては、弊社の持っている苗づくりの技術を生かし、鳥取や岡山で今までになかった農作物の『産地』をつくっていきたいと思っています。」
「既存の事業においても、どんどん取引先を増やしていきたいですね。そのために『苗をつくることだけではなく、苗を買っていただいたお客さんを幸せにすることが自分たちの仕事』という意識を持ち続けたいと思います。具体的には、苗を買ってくださったお客さんから商品の意見を伺い、自分たちの仕事を改善していくことですね。」
「採算を考慮しながらも、その中で最高の商品を提供し続けていきたいです。」
農業は手段で、周りの人を幸せにすることが目的。そう力強く答えてくれた佑基さんの表情が印象的でした。
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